Project Type: Renovation / Site: Kanagawa Hakone / Total floor area :117㎡ / Design : Yota Hokibara (HAMS and, Studio) / Build: Code / Project Director: Mysa / Iron crafts : Kozuka manufacturer + Ferrum+ / Plants : GREENIAN
箱根の森に覆われた斜⾯地に位置する、⼈⼯地盤上に建つ築60 年の既存平屋住宅の改修計画である。明るい褐⾊を帯びた既存外壁を復元しながら、内外部を跨ぐ新たな要素として褐⾊の縁側を貫⼊し、新旧が折り重なる建築を試⾏した。

敷地は神奈川県箱根町に位置する。登山鉄道を上り、大涌谷を背後、南側に控えた中腹の第一種低層住居専用地域にあり、箱根の地形的文脈を強く感じさせる場所である。周辺には、定住を前提とした住宅と別荘利用の建物が混在している。各住宅は敷地境界からの壁面後退距離が確保されており、建物同士が十分な離隔を保つことで、独立したプライベート性が成立している。
敷地周辺の地形は北側に向かって下る構成となっており、南側からの光が直接差し込みにくい。そのため本敷地は、強い日射を避けながら静かに過ごすことのできる、箱根の避暑地としての性格を色濃く備えている。
本計画では、箱根の大きな谷に囲まれた広域の地形と、20m を超える高木に囲まれた敷地スケールの狭域な地形とを一つながりのものとして捉え、住宅兼ゲストハウスとして築60 年の母屋を再構成した。









既存母屋は、築60 年を経てなお、明快な平面構成をもつ在来工法による平屋建てであった。中央に居間を据え、すべての個室・廊下が居間に接続する、求心性の高い構成であった。また、解体工事を進める中で、5m スパンの居間に、天井裏に隠れていた丸太の大梁が現れた。本計画では、既存のプランと構造体が本来備えていた空間的なポテンシャルを尊重しつつ、住宅兼ゲストハウスとしての宿泊体験を強化するため、内外部を横断する居場所として円環状の縁側を新設した。居間は土間とし、その周囲を縁側が取り囲むことで、視線や人の動きが中央を介して行き交う空間とした。縁側は各個室、外部バルコニーをつなぐ回遊の場であると同時に、滞在の気配を緩やかに共有する中間領域となっている。また、既存母屋は平屋でありながら複雑な屋根組によって構成されており、頂部には通気口としてのガラリが設けられていた。本改修では天井を現しとし、その位置にトップライトを設け、内部空間に光を導いた。

箱根の地形がもつ「囲われ」、敷地を取り巻く木々の「囲われ」、既存建屋における居間と各室の「囲われ」、新設した縁側と各室との「囲われ」。それらはそれぞれ異なるスケールと時間軸に属しながらも、「囲われ」という同心円的な関係の中で連なり、一体的な空間構造を形づくっている。本計画では、自然、地形、既存、新設、内部と外部といった異なる領域を横断しながら、その一部であり、同時にその全体でもあるような状態を、建築として立ち上げることができないかを試行した。



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