Project Type: Renovation / Site: Tokyo / Total floor area :115㎡ / Design : Yota Hokibara (HAMS and, Studio) + Tomoyo Hokibara / Build: Roovice / Iron crafts : Kozuka manufacturer + Ferrum+ / Plants : GREENIAN
外のようなリビング、内のようなバルコニー。欄間越しに見えないけど聞こえてくる音。ガタガタな既存躯体を漂白する塗装。内と外、パブリックとプライベート、新と旧。対を成す様々な物事に対し、淡く跨り、覆い包むようなベールを着せることで、両者の「間」を繋ぐ計画とした。

幹線道路と線路の交差部の中高層地域に位置するマンションの一室改修計画。建物の表側である幹線道路と線路による都市インフラの面に対し、裏側には低層住居地域と緑道、そして富士の山並みを望むことができる。用途地域の境界ラインに必然的に表れる高低差を一手に感得できる大きなバルコニーをもつ区画である。


目まぐるしくせわしない都市インフラの動きをすぐ背後に控えながら、物静かで緩やかな、大きな風景を捉える、内と外が一体的にある縁側としての住居を試行した。

内と外を東西三層の領域で構成した。線路のある都市側となる東側に、キッチン、ストック、小部屋等の機能ボリュームを、喧騒への緩衝となるように配置し、西側の40㎡のバルコニーと東側を繋ぐ中央部に、領域をまたぐ広場としてリビングを配置した。リビングとバルコニーの内外をまたぐように計画した一体的な縁側空間は、休息する場所であるとともに、西に面する最上階区画の環境負荷に追従するための皮膜として計画した。また、西面に十分な開口を保持する既存躯体を生かし、南面に夫婦それぞれの個室を配置しながらも、南北/東西方向で最大限風が抜けていくために、個室は全て引き戸によって設えることで、日本家屋の伝統的な「一屋一室」を現代的にアップデートした。

マンションの屋上を背負う環境負荷の高い区画において、一日の中、また、季節ごとの陽の変化に対して追従できる「バタフライ蔀タープ」を設えた。内部側は透過度の異なる2枚の布にSUSパイプを貫通させ、受金物によって吊り下げ・吊り上げ可能当とし、陽が射しこまない午前中は布2枚を吊り上げることで視線を抜くことを可能とした。外部側は、水平方向に奥行を持たせることで低い西陽にも追従可能としながら、夏場の強い陽が射す時は、垂直に垂れ下げることで外部側にて直射を遮断し、冷房効率に配慮した。内側/外側とバタフライ状に開閉できる、日本古来の内外間仕切りである蔀戸を参照したタープにて、西間口全体に展開することで、居心地を作りながら環境装置となる「居場所のインフラ」を試行した。


「居場所のインフラ」となる西側に対し、幹線道路・線路を背負う東側は、構造躯体壁、WIC、キッチン、冷蔵庫、空調機等、モノがひしめく「生活のインフラ」となる機能ボリュームを配置した。ボリューム(倉庫・構造壁・引戸戸袋)とニッチ(寝室・WIC・キッチン・書斎)を交互に展開することで、リビングに軒を連ねるファサードの背景に、物がありありと露出することで、リビングへの心地よい喧騒の表出となるよう試行した。


区画中央に鎮座する構造壁によってプランの自由度は劇的に失われた。しかしながら、既存タイル下地とクロス下地を顕著に示し、かつ、説明不可能な大きな不陸が新築にはあり得ない存在感として魅力を保持していた。リビングファサードを彩るある種の賑わいとして積極的に取り入れる計画とし、一部補修を加え、新設壁と同色の吹付塗装にて被膜した。既存躯体コーナー部の不陸へのイミテーションとして新設壁コーナー部を段々形状に表現し、新旧が対を成す関係でなく、淡くつながる在り方を模索した。
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